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個人事業主Amazonセラーが考えるインボイス制度の影響と対応

インボイス制度 アマゾンFBA販売

当記事は税務の専門家では無い個人の見解や予想で書かれています。またインボイス制度の公式情報は随時アップデートされています。

最新の公式情報は国税庁のホームページや問い合わせ窓口で確認してください。

インボイス制度の具体的な影響を考える(主に消費税免税事業者)

前回の記事で、アマゾンセラーセントラルに「インボイス制度」のお知らせが掲示されたことと、セラーにどのようなアクションが求められるのか記事にしました。

私のような個人事業主セラーの場合、そもそもどんな影響があるのか、また「課税事業者」や「適格請求書発行事業者」になる必要があるのか考えてみました。

一部の消費税「免税事業者」への影響が想定

税理士と契約されている方などは、ご自身の商売によりどのような影響があるのか早めに相談・確認すればいいかと思いますが、

そもそも税理士と付き合いがあるセラーは売上も多く、大半は消費税「課税事業者」だと思います。

消費税「課税事業者」の場合は、セラーセントラルのお知らせの通りに「適格請求書発行事業者」に申請し、番号をアマゾンに登録すればいいだけなので、大きな問題にはならないかと思います。

場合によって影響が大きくなるのが主に年間売上1000万円以下の「消費税免税事業者」のセラーになるでしょう。

消費税

主に消費税免税事業者のセラーの場合どのような影響があるのか、売り手側(販売側)と買い手側(仕入・消耗品などの経費購入)で分けて考えてみました。

売り手(販売側)としての影響

まずは、アマゾンでの売り手側(販売側)としての影響を考えます。

個人客向け販売(BtoC)が主な場合は影響が小さいと想定

あくまでも、アマゾンで販売している個人事業主の立場での考えですが、「個人客」向けの販売(BtoC)が大半の場合は、「適格請求書発行事業者」にならなくても、特段影響は出ないと考えます。

その理由について、消費税の仕組みも含めて考えてみます。

消費税納税
一般個人客と消費税

アマゾンセラーは、一般の個人客相手の販売が多いと思います。

アマゾンの一般個人客の多くは、購入した商品を自己消費もしくはプレゼントする、個人利用が主な「最終消費者」かと思われます。

消費税の仕組みでは最終消費者が消費税の最終負担者になっています。

日々の日用品や食料品、交通費・タクシー代、食事代、コンビニで弁当購入、アマゾンでポチる様々な商品、プレゼントetc・・・

支払い

こういった日常的に個人で消費・提供を受けるサービスの多くは、商品購入・サービスを受けた者がその場で消費税を支払い、消費税の最終負担者になっていることは実感できるかと思います。

消費税は、生産、流通などの各取引段階で二重三重に税がかかることのないよう、税が累積しない仕組みとなっています。商品などの価格に上乗せされた消費税分は、最終的に消費者が負担し、納税義務者である事業者が納めます。
 課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円を超える事業者は、消費税の納税義務者となります。

引用:国税庁ホームページ 「消費税 / 基本的な仕組み」

一般の個人客は購入した商品を使って、別の誰かに対価を伴った商品・サービスを提供することはあまり無く、最終的な消費者となる場合が多いでしょう。

(購入した商品を使って、他の誰かに商品・サービスを提供するのであれば、個人でも「客」ではなく個人「事業主」になり、最終的な消費者とはなりませんが)

ネットショッピング

最終的な消費者は、その商品が「生産~流通~販売」等の過程で発生した消費税の最終的な負担者になります。

消費税が累積しないようにする仕組み「仕入税額控除」

ところで、消費税には生産・流通などの過程で消費税が累積しないように「仕入税額控除」という仕組みがあります。

消費税は、生産、流通などの各取引段階で二重、三重に税がかかることのないよう、課税売上げに係る消費税額から課税仕入れ等に係る消費税額を控除し、税が累積しない仕組みとなっています。 課税仕入れ等に係る消費税額を控除する(仕入税額控除には、帳簿及び請求書等の保存が必要です。

引用:国税庁ホームぺージ「仕入税額控除」

生産メーカーや流通・販売業者などはこの仕入税額控除を使うことで、結果的に消費税が累積しないような仕組みになっています。

累積
一般個人客(最終消費者)は「仕入税額控除」に関係なし

ここで改めて、アマゾン販売をしているセラーの主な顧客である一般個人客について。

先に記載した通り、アマゾンで商品を購入する一般個人客のほとんどが「商品の最終消費者」かつ「消費税の最終負担者」と思われます。

最終消費者は次の取引段階(他者への販売・サービス提供など)がありませんので、上記のような消費税が累積しない仕組み「仕入税額控除」に関係ありません。

「仕入税額控除」に関係ない一般個人客は「インボイス制度」にも関係なし

2023年10月に始まるインボイス制度は、事業者が「仕入税額控除」をするために必要となる書類「インボイス(適格請求書)」に関わることです。

「仕入税額控除」が必要な事業者・企業は、仕入/購入先から「インボイス/適格請求書」を発行してもらうことが重要/必要ですが、最終消費者の一般個人客は必要ありません。

なので、最終消費者はインボイス制度が開始されても「この販売者は仕入税額控除に必要なインボイスを発行できる”適格請求書発行事業者” なのか?」などとチェックして購入する必要がありません

最終消費者の一般個人客は、販売者が「 適格請求書発行事業者 」なのか、ほとんど気にもしないでしょう。

領収明細書
「インボイス制度」が個人客向け販売(BtoC)セラーに与える影響は小さい

上記の通りインボイス制度が開始されても、一般個人客は購入先が「 適格請求書発行事業者 」かどうか気にする必要がありません。

このため、一般個人客向け販売(BtoC)がメインのセラーの場合は 「 適格請求書発行事業者 」 にならなくても販売への影響は小さいものと考えます。

この前提で、現在消費税免税・課税事業者の場合に分けて、売り手側としての影響・対応を考えてみます。

消費税「免税事業者」の場合

もし私が「消費税免税事業者」で、販売が個人客向け(BtoC)が大半だと仮定した場合は、2023年10月以降も「消費税免税事業者」(「適格請求書発行事業者」にはなれない)のままでいいと考えます。

(※今後1000万円を超える売上げが見込まれる場合や、2023年に課税事業者になるような場合は別途考慮が必要でしょう)

メイン顧客の「一般個人客」が気にもしない「適格請求書(インボイス)」を発行するために、労力を使って「消費税課税事業者」&「適格請求書発行事業者」になる必要性を感じないからです。

この次に記載する事業者向け(BtoB)の販売分が若干減少したとしても、課税事業者になって翌年に消費税を納税するほうが金銭・確定申告時の負担が大きくなることも理由になります。

負担

アマゾンで販売している個人事業主の方で「消費税免税事業者」である方は、多くがこの「BtoC」での売上なのではないでしょうか?

消費税「課税事業者」の場合

現在課税事業者の場合は、誰が販売相手でも「適格請求書発行事業者」になることで特段の不利益が無いと思われるので、発行事業者番号をアマゾンに登録すればいいだけかと思います。

現在小口出品者の場合は大口出品者に変更する必要はありますが。

個人事業主・中小企業向け販売(BtoB)が主な場合は影響が出ると想定

続いて、今度は「個人事業主」や「中小企業」などが販売相手のBtoB取引が多いセラーはどうでしょうか?

アマゾンでの売り手としてインボイス制度が大きく影響しそうなのが、「個人事業主」や「中小企業」などが販売相手のBtoB取引が多い「免税事業者」かと思われます。

会社

例として、個人事業主や中小企業などが、事業用の消耗品(文房具など)をアマゾンで経費として購入すると考えてみます。

文房具

この場合、消耗品を購入した「個人事業主や企業」は消費税確定申告にあたり、アマゾンで消耗品購入時に支払った消費税分を控除(仕入税額控除)することを考えます。

消費税は、生産、流通などの各取引段階で二重、三重に税がかかることのないよう、課税売上げに係る消費税額から課税仕入れ等に係る消費税額を控除し、税が累積しない仕組みとなっています。 課税仕入れ等に係る消費税額を控除する(仕入税額控除には、帳簿及び請求書等の保存が必要です。

引用:国税庁ホームぺージ「仕入税額控除」

2023年10月以降は、この消費税の「仕入税額控除」をするために「適格請求書(インボイス)」が必要になります。

そしてこの 「適格請求書(インボイス)」 を発行できるのは「課税事業者」でかつ「適格請求書発行事業者」 となります。(一部例外を除く)

会計処理

一応経過措置が6年間ありますので、「適格請求書発行事業者」以外の事業者が発行した「適格請求書(インボイス)」の要件を満たさない請求書・領収書等でも、最初の3年間は「80%」、次の3年間は「50%」の仕入税額控除が出来ます。

(国税庁 インボイス制度に関するQ&A 問7:登録に係る経過措置)

ただ、この経過措置を使う場合、仕入・購入側の帳簿上で追加の処理が必要になるなど手間が増えるようです。

ただでさえ仕入税額控除が小さくなる=負担する消費税が増えるのに、さらに帳簿上の手間まで増える事業者を選んで購入してくれるでしょうか?

普通は無いと思います。飛び抜けてアドバンテージのある商材を扱っているなど特殊要因があれば別かもしれませんが・・・

お断りします

ですのでBtoBが売上の大半である場合、2023年10月以降も「消費税免税事業者」のままだと、仕入税額控除に必要な「適格請求書(インボイス)」を発行出来ないことから、個人事業主や企業からは敬遠されてしまうことになるでしょう。

結果として販売減少などの影響が出ると考えられます。

よって、

  • ターゲットとする顧客・商材を変えない場合は「課税事業者」&「適格請求書発行事業者」になる
  • 「免税事業者」のままでいたい場合は、商材を個人客向け(BtoC)に変えていく

などの判断が必要と思われます。

アマゾンセラーセントラルのインボイス制度のお知らせにある、Q&Aにも以下のように記載されています。

Q2. Amazonでの販売を続けるために必ず番号は必ず取得しなければならないのでしょうか?

A2. 現在はAmazonでの販売をするにあたり登録は必須ではありません。ただ、本制度の開始後、法人・個人事業主のお客様を対象とするAmazonビジネスでは、お客様が適格請求書を受け取れる商品かどうかを、商品ページ上で識別できるような仕組みとなることが予定されています。出品者様の売上に影響を与える可能性がございますので、番号を取得いただくことをおすすめいたします。

Q3. 納税義務がないのですが、番号を取得する必要があるのでしょうか?

A3: 番号は課税事業者(=消費税を納税する販売事業者)のみが取得できるものです。現在免税事業者(=消費税を納税する義務がない販売事業者)である場合、番号取得には課税事業者になる必要があります。課税事業者となり、番号を取得するかしないかは出品者様のご判断になります。

引用:Amazon.co.jp 「適格請求書発行事業者登録番号」の取得とご報告についてのお願い

ただ「消費税免税事業者」で「BtoB」の売上が多いというアマゾンセラーはどれだけいるのでしょうか?

BtoBをメインにしていたら、年間売上1000万円程度であればすぐに超えて、そもそも消費税課税事業者になっている気もします。

業績アップ

買い手側としての影響

次に、買い手側としての影響を考えます。

小売業の立場で「買い手」となるのは「仕入」と「経費計上の消耗品購入」などの場合でしょうか。

買い手側の影響は消費税「免税事業者」と「課税事業者」の場合に分けて考えてみます。

消費税「免税事業者」の場合

免税事業者の場合、2023年10月以降の買い手側(仕入や消耗品の購入など)でも、特段影響は無いと思われます。

免税事業者は、そもそも消費税の納税が無いので消費税の仕入税額控除の申告もありません。

このため、仕入れやアマゾンで消耗品など購入する場合などに、購入先が 「適格請求書(インボイス)」 を発行できる「適格請求書発行事業者」であるかどうか確認する必要がありません。

消費税「課税事業者」の場合

課税事業者の場合でも考えてみます(「消費税簡易課税制度」を選択した課税事業者は除きます

課税事業者が買い手側になると、売り手側と裏表の立場になるので、何故「BtoB取引」で「適格請求書発行事業者」 になる必要があるのか、よく分かります。

2023年10月以降は、多くの課税事業者は仕入・購入相手先が「適格請求書発行事業者」かどうかを確認することになると思われます。

私が課税事業者で、2023年10月以降にAmazon.co.jpで消耗品(ダンボールや緩衝材など)を買うと考えた場合は、ほぼ間違いなく 「適格請求書発行事業者」 の表示があるセラーから買うでしょう。

でないと、翌年の消費税確定申告の際に経費計上(消費税の仕入税額控除)をするために必要な「適格請求書(インボイス)」が発行されず、結果的に私の消費税納税額が増えてしまうからです

ダンボール

消費税分を自分でかぶっても利益が十分にある場合等であれば 「適格請求書発行事業者」 でなくても仕入れたりするかもしれませんが・・・・

まとめ

以上が当方が考えた、インボイス制度が個人事業主アマゾンセラーへ及ぼす影響・対応です。

影響を考慮した上で、今回のアマゾンの「インボイス制度」のお知らせへの対応をまとめると、以下のようになります。

あくまで私人の見解ですのであしからず。

消費税「免税事業者」の場合の対応

  • 個人向け販売(BtoC)がメインで、2023年10月以降も売上・販売方針に変化が無い見込みの場合
    • 「免税事業者」のままでいても販売に影響が小さいので、特に対応はしない(アマゾンへの事業者番号登録等も発生しない)
    • 2023年10月以降も、仕入れ・経費の購入先が「適格請求書発行事業者」であることを気にしなくていい
  • 個人事業主・中小企業などが相手(BtoB)の販売がメイン(またはメインにする予定)の場合
    • 2023年10月以降も販売方針に変更が無ければ「課税事業者」&「適格請求書発行事業者」になり、アマゾンに事業者番号を登録する(小口出品者の場合は大口出品者への変更も必要)
    • 「課税事業者」になった場合、2023年10月以降は仕入れ・経費の購入先が「適格請求書発行事業者」であるかの確認が必要
    • 「課税事業者になりたくない場合」は、販売を個人客向け(BtoC)メインにするなど「免税事業者」のままで影響が無いように販売方針の変更を検討する

消費税「課税事業者」の場合の対応

  • 小口出品者の場合は大口出品者に変更(大口出品者でないと「適格請求書発行事業者番号」が登録できないもよう)
  • 「適格請求書発行事業者」に申請し、事業者番号をアマゾンに登録する
  • 2023年10月以降は、仕入れ・経費の購入先が「適格請求書発行事業者」であるかどうか確認する必要
経営判断

なおこの考えは、あくまでもアマゾンなどの主に個人客向けのECサイトだけで販売を行っているとした場合です。

物販以外にも他の商売を並行して行っている場合などは、判断が変わってくるかと思います。

また免税事業者から課税事業者に変更する場合も、2年間は免税事業者に戻ることができないため慎重な判断が必要かと思います。

なおこの記事は税務に関しては素人が書いた個人の意見です。最終的な判断にあたっては、税務署や税理士さんなどの専門家への確認・相談をおすすめします。

(前回の記事)

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